○要保護児童対策地域協議会 新潟県南魚沼市
1.協議会の意義と設置の経緯
要保護児童対策地域協議会(略して「要対協」)は、家庭内暴力などの問題
を早期に発見、早期に対応できるよう、市が地域住民、関係機関と協力して
設置し、児童の適切な保護を図るために設置されたものです。
ご近所からの「泣き声」などの情報、保育所から寄せられる「心配な状況」など
に対して、頻繁に協議会を開き、情報を共有し、適切な対応をします。
多様な視点からの情報、関係機関の役割分担で得意分野の機能を発揮する、
認識や「温度差」の解消を図る、などの意義があります。
平成20年、県・児童相談所からの働きかけに応じ、設置。
2.業務の実際
@ 代表者会議 年1回
A 実務者会議 随時開催
協議会構成メンバーは、
○児童相談所 ○市子育て支援課 ○民生委員児童委員協議会
○地域振興局地域保健課 ○医師会 ○市保健課
○市教育委員会 ○市教育振興会 ○警察署 ○人権擁護委員協議会
このように児童福祉、保健医療、教育、警察・司法の各分野が揃う。
なお教育委員会サイドで開かれる「サポート連絡会議」というものがあり、
メンバーが重複しているので重ねて開催する形をとっている。
実務者会議の開催はH21年度 21回、38件を協議した。
相談の類別は養育(虐待・その他)、保健、障害、非行、育成(性格・不登校
・育児など)、その他。受理件数は圧倒的に児童虐待相談がトップ。
虐待案件で虐待者は実母が毎年8割前後を占める。(全国平均では母6割)
事案の解決として、
○療育手帳を申請し、お母さんが就業できた。
○措置入所、一時保護などの対処
3.その他
相談経路としては保育所と学校を合わせると半分近くになる。
毎日子どもを見ていることから、件数が多い。
毎日、同じ服を着ている、手にやけど、顔に痣(あざ)がある、母に聞くとつじつ
まが合わない、などのケースがある。
夜中じゅう泣き止まないという近所からの相談があり、夜半まで泣き声を聞いて
いたこともある。自閉症の児童だった。
ネグレクトの場合、母自身が病気のこともある。また母は子育てに懸命なつもり
だが、実際にはトイレの声掛け、ごはんの呼びかけ、子どもとの関わりができて
ないケースもある。母が孤立している実態がある。
これらに対応する場合、協議会があることにより、民生委員からの情報ももらえ
るし、警察ともすぐに連携ができる。
4.感想
なかなか解決しない、1回で解決することは少ない。転居しない限り、案件としては
半永久的に残る…。それが、実務者からの率直な意見でした。
この点は、議員として私が承る市民相談案件とも似ているといえます。
その上、デリケートな問題でもあり、話し合いをできるようになるまでに何回も訪問
する必要があるケース、再発など、地道で根気の要るのが児童保護の業務です。
障害が発見された場合には児童相談所だけでなくハローワークとも連携、障害者
枠での雇用ができないか、そこまでの配慮もするそうです。
家庭内にどこまで入り込めるか。DVが決して特異な現象ではなくなった今日、
行政としても新しい連携と対応策の構築が必至であり、役所や機関の枠組みを
越えたこうした取り組みがとても有効であると感じました。